要点まとめ:ランサムウェアは、データを暗号化して業務を停止させることを目的とした攻撃です。近年は日本企業でも被害が相次いでおり、IT部門だけでなく経営や現場業務全体に影響を及ぼすリスクとして認識する必要があります。

ランサムウェアによる被害は、突然発生するように見えますが、実際にはいくつかの段階を経て進行すると考えられています。
なぜ今、日本でランサムウェアが問題になっているのか
近年、日本国内でもランサムウェアによる被害が相次いで報告されています。実際に、ニュースでは大企業や医療機関、自治体の事例が目立ちます。 しかし、中小企業や一般的な事業会社も無関係ではないと考えられています。 その背景には、業務のデジタル化があります。つまり、社内システムやデータが、日常業務に深く組み込まれているのです。 その結果、業務を止めず、取引先や顧客に迷惑をかけないことを重視する日本企業にとって、ランサムウェアは重大な経営リスクになっています。ひとたび被害を受けると、即座に業務停止につながる状況が生まれやすくなっています。 このように、業務継続を人質に取る形の攻撃として、ランサムウェアが注目されているのです。 では、日本企業特有の業務文化や構造は、なぜ攻撃者にとって格好の標的となってしまうのでしょうか。この点については、『なぜ日本企業がランサムウェアに狙われるのか』で詳しく解説しています。ランサムウェアとは何か
ランサムウェアとは、パソコンやサーバー内のデータを使えない状態にし、その復旧と引き換えに金銭などを要求する不正プログラムの一種です。 「ランサム(Ransom)」は身代金、「ウェア(Ware)」はソフトウェアを意味します。つまり、データを人質に取る仕組みだと考えると理解しやすいかもしれません。 一般的には、以下のようなことが起こります。- ファイルが突然開けなくなる
- 画面に「データを復旧したければ連絡せよ」といったメッセージが表示される
- 社内システムが停止し、通常業務が続けられなくなる
従来のウイルスと何が違うのか
ランサムウェアは、広い意味ではウイルスの一種とされることもあります。ただし、目的と影響は大きく異なります。 従来のウイルスは、次のような行為が中心でした。- パソコンの動作を不安定にする
- 勝手に広告を表示する
- 情報を外部に送信する
- データを暗号化する
- 業務そのものを停止させる
ランサムウェア攻撃の基本的な流れ

① 侵入
メールの添付ファイルや、不正なリンク、外部からのリモート接続などをきっかけに、社内ネットワークに入り込むケースが多いとされています。② 内部での拡大
侵入後すぐに被害が出るとは限りません。内部の状況を把握し、複数の端末やサーバーに広がる場合もあると考えられています。③ データの暗号化
ある時点で、一斉にファイルが暗号化され、業務データが利用できなくなります。④ 身代金の要求
画面表示やファイルを通じて、金銭の支払いを求めるメッセージが表示されます。「IT担当者だけの問題」ではない理由
ランサムウェアという言葉から、IT部門や専門担当者の問題だと感じる方も少なくありません。しかし実際には、業務の進め方や情報の扱い方が深く関係する問題だと考えられます。- メールでのやり取り
- ファイル共有
- 在宅勤務や外部接続
企業として最低限知っておきたいポイント
ランサムウェアについて、すべてを理解する必要はありませんが、企業として最低限押さえておきたい視点はあります。- ランサムウェアは「業務停止」を狙う攻撃であること
- 感染すると、ITだけでなく現場業務全体に影響が及ぶこと
- 事前に想定していないと、判断や対応が遅れやすいこと