「明日の朝、電子カルテが開かなかったら」。病院の情報システム担当の方や、病院を担当する販売店の方なら、一度は想像したことがあるかもしれません。
ランサムウェアは、データを暗号化して使えなくし、元に戻す代わりに身代金を求めるマルウェアです。病院が感染すると、外来や救急の受け入れまで止まるおそれがあります。
この記事では、韓国で公表された医療機関の被害データと国内の病院の事例をもとに、病院が狙われる理由と、侵入される前提で備えるランサムウェア対策を整理します。
📌 この記事でわかること
- ✔韓国の医療機関で起きている被害の急増と、その入口
- ✔国内の病院の事例に共通する「保守用VPN・委託先」というリスク
- ✔病院がランサムウェアに狙われやすい3つの理由
- ✔「防ぐ」に加えて「止めない・戻す」ための4つの具体策
✨ [要約] 韓国では2026年1〜9月の民間医療機関の侵害事故が28件と、2025年1年間の2.5倍以上に増えました。日本でも、保守用のVPN装置や委託先の回線から侵入され、診療の制限や大規模な情報漏洩につながった病院があります。侵入を前提に、入口の点検に加えて「早く気づいて止め、すぐ戻す」仕組みを備えることが、診療を止めないための鍵です。
韓国で中小の病院・医院への被害が急増 ─ 2026年は前年の2.5倍以上
韓国では2026年10月の国政監査で、民間医療機関の侵害事故のデータが公表されました。被害の多くは中小の病院・医院で、ほとんどがランサムウェアです。
データで見る:韓国の民間医療機関の侵害事故
2026年1〜9月28件
2025年1年間の11件の2.5倍以上。うち26件がランサムウェアでした。
2020年〜2026年9月の累計133件91%
ランサムウェアによる被害は133件のうち121件です。
累計133件のうち82%
病院56件と医院53件で、中小規模の医療機関が8割を超えます。
入口は「リモート保守のために開けた通り道」
主な侵入口は、医療機器や業務システムのリモート保守のために外部へ開けたままのポートでした。2026年は、リモート操作ツールを経由した侵入も11件あり、そのうち10件が9月に集中しています。IT担当者の兼任や保守業者への任せきりで、更新や接続の管理が行き届いていないことが背景にあるとされています。
データで見る:監視の有無で結果が分かれた
政府の24時間セキュリティ監視への加入率
病院・医院は75,560施設のうち5施設だけの加入です。
加入している医療機関侵害の成功 0件
2025年から2026年9月までに13万5,240件の侵入の試みを検知しましたが、侵害を許した例はありませんでした。
💡 ここがポイント
被害の有無を分けたのは、攻撃を早く見つけて止める仕組みがあったかどうかでした。予算や人員が限られる中小の医療機関ほど、この仕組みが欠けています。
日本の病院でも診療の制限・情報漏洩が続く
日本でもランサムウェアの被害は高い水準が続いています。病院では、保守用のVPN装置や委託先の回線から侵入される事例が繰り返されています。
データで見る:国内のランサムウェア被害
2025年の被害報告226件
前年から4件増え、高い水準が続いています。
2026年1〜6月の被害報告123件
半期の件数として、統計を取り始めた2020年下半期以降で最多です。
被害組織の侵入経路約5割
被害組織へのアンケートでは、VPN機器が侵入経路の約5割を占めています。
国内の病院の主な事例
2026年1〜2月日本医科大学武蔵小杉病院
▸1月26日、医療機器の保守に使うVPN装置から侵入されました。
▸1月29日にナースコールシステムのサーバーからデータが盗まれ、発覚は2月9日でした。侵入から気づくまで約2週間かかっています。
▸患者約13万人と、職員・実習生約1,700人の個人情報が漏洩しました。
2022年10月大阪急性期・総合医療センター
▸給食を委託している事業者のVPN装置の脆弱性から侵入され、委託先を経由して院内のシステムに広がりました。
▸電子カルテを含む基幹システムの再稼働まで約6週間かかりました。部門システムを含めた通常診療に戻ったのは2023年1月11日です。
▸調査報告書では、全ユーザーに管理者権限が与えられていたことも原因に挙げられています。
2021年10月つるぎ町立半田病院(徳島県)
▸電子カルテをはじめとする院内システムがランサムウェアに感染しました。
▸通常診療を再開したのは2022年1月4日で、約2か月かかっています。
このほか、2025年2月には栃木県、2026年3月には静岡県の病院でも被害が公表されています。静岡県の事例では、電子カルテなどの院内システムが閲覧できなくなりました。
⚠ 事例に共通すること
入口は保守用のVPN装置や委託先の回線でした。電子カルテ以外のナースコールや給食のシステムも足がかりにされています。また、侵入から発覚まで時間がかかるため、気づいたときには被害が広がっていることがあります。
病院がランサムウェアに狙われやすい3つの理由
韓国と日本の事例を並べると、病院が繰り返し狙われる理由が見えてきます。
01診療を止められない
患者の命に関わるため、システムの停止を長引かせられません。攻撃者から見ると、身代金を払わせやすい相手です。
02院外とつながる入口が多い
医療機器の保守回線、VPN装置、委託先との接続など、外部との接点が多いほど侵入口も増えます。
03予算と人員が限られる
情報システムの担当が1〜2名や兼任の病院も多く、更新や接続の管理まで手が回りにくい状況です。
韓国で問題になっている「医療セキュリティの二極化」は、日本の中小病院にもあてはまります。
対策の考え方:「防ぐ」に加えて「止めない・戻す」
🔎 ひとことで言うと
侵入される前提に立ち、入口を守るだけでなく、攻撃に早く気づいて止め、すぐ元に戻せる仕組みまで用意することです。
ウイルス対策ソフトやEDR(端末の不審な動きを監視する仕組み)は欠かせません。ただ、未知の攻撃をすべて入口で防ぐのは難しいのが実情です。被害の大きさは、気づいて止め、元に戻すまでの速さで変わります。
対策の3つの層
1 防ぐ入口を減らし、固める
VPN装置の更新、多要素認証、権限の見直しで、侵入されにくくします。
2 止める暗号化の動きを止める
不審なふるまいを検知したら、その場で処理を止めます。
3 戻すすぐに元へ戻す
バックアップや自動復元で、データを使える状態に戻します。
データで見る:基本対策の実施状況
厚生労働省の2025年の調査では、バックアップや訓練といった基本対策にも、まだ伸びしろがあります。
電子カルテのバックアップを取っている病院のうちの割合
BCPを策定した病院のうちの割合
自院の点検や病院への提案の基準には、厚生労働省の「医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリスト」も役立ちます。チェックリストは年度ごとに改定されるため、最新版を確認してください。
明日から取り組める4つの具体策
事例から見えてきた弱点に沿って、すぐに始められる対策を4つにまとめました。
1
STEP 1 リモート保守の入口を洗い出す
保守回線、VPN装置、委託先との接続を一覧にします。ナースコールなどの周辺システムや医療機器の保守回線も忘れずに含めます。
2
STEP 2 権限を見直す
必要な人に、必要な権限だけを与えます。大阪急性期・総合医療センターでは、全ユーザーに管理者権限があったことが被害の広がりにつながりました。
3
STEP 3 オフラインのバックアップと復旧訓練
ネットワークから切り離したバックアップを用意し、本当に戻せるかを訓練で確かめます。
4
STEP 4 暗号化を「その場で止めて戻す」仕組みを加える
バックアップからの復旧には、数時間から数日かかります。暗号化が始まった時点で止めて戻せれば、診療への影響を小さくできます。
🔍 VPN装置の点検リスト
- ✅セキュリティ更新を含む保守契約になっているか
- ✅サポートが終了した製品を使い続けていないか
- ✅不要なポートや管理機能をインターネットに公開していないか
- ✅業務で使わないときも、VPNをつなぎっぱなしにしていないか
- ✅パスワードだけでなく、多要素認証やクライアント証明書を使っているか
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電子カルテを院外から使う3つの方法と、それぞれの運用コストやセキュリティ上の課題は、こちらの記事で比較しています。
WhiteDefenderで「暗号化されても戻せる」備えを
WhiteDefenderは、ランサムウェア対策に特化したソリューションです。今のウイルス対策ソフトやEDRはそのままに、暗号化を防ぐ2層目として追加できます。RSUPPORTは、日本での販売と技術サポートを担っています。
🛡
ふるまいで検知して遮断
暗号化の動きや不審なプロセスを常に見張り、ランサムウェアの兆候があれば強制的に止めます。パターンファイルに頼らない検知のため、未知の新種や亜種にも対応します。
♻
原本を自動で保存して復元
攻撃を検知すると、狙われたファイルの原本を自動でバックアップします。遮断のあと、ファイルを元の状態に戻します。
🤝
今の対策と併用できる
既存のウイルス対策ソフトやEDRと共存できる軽量設計です。今の製品を入れ替える必要はありません。
💴
1台から導入できる
PCライセンスは年額7,800円(税別)で、月額に換算すると650円です。サーバー向けのライセンスもあります。
グローバルで1,300社以上、90万台以上に導入されています。重要な端末やサーバーから段階的に導入できるため、予算の限られた中小病院でも始めやすいのが特長です。対応OSは対応環境のページ、料金は料金のページで確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q病院がランサムウェアに狙われやすい理由は何ですか?
A主に3つの理由があります。第1に、診療を止められない環境のため身代金を払う圧力が強く、攻撃者にとって「支払いを引き出しやすい標的」です。第2に、保守回線・VPN・委託先など院外とつながる入口が多く、侵入経路が増えます。第3に、情シスが1〜2名や兼任の病院も多く、パッチ管理や接続の監視が行き届きにくい状況です。
Qバックアップがあれば病院のランサムウェア対策は十分ですか?
Aバックアップは重要ですが、それだけでは十分とはいえません。厚生労働省の2025年の調査では、電子カルテのバックアップを取っている病院のうち、オフラインで保管しているのは64%でした。BCPを策定した病院のうち、訓練で手順を確かめているのは38%にとどまります。また、バックアップからの復旧には数時間から数日かかるため、暗号化が始まった瞬間に検知・遮断する仕組みを組み合わせることで、診療への影響をより小さくできます。
Q電子カルテ以外のシステムもランサムウェアの標的になりますか?
Aはい、なります。2026年に公表された日本医科大学武蔵小杉病院の事例では、医療機器の保守に使うVPN装置から侵入され、ナースコールシステムのサーバーが攻撃を受けました。患者約13万人分の個人情報が漏洩しています。電子カルテ以外の周辺システムや保守用の回線も標的になる点は、大きな教訓です。
QWhiteDefenderは既存のウイルス対策ソフトやEDRと併用できますか?
Aはい、併用できます。WhiteDefenderは既存のウイルス対策ソフトやEDRと共存できる軽量設計です。今の製品を入れ替えずに、暗号化を防ぐ2層目として追加できます。
Q中小病院でも導入できる費用感ですか?
Aはい、1台から導入できます。PCライセンスは年額7,800円(税別)で、月額に換算すると650円です。サーバー向けのライセンスもあるため、重要な端末やサーバーから段階的に導入できます。
まとめ
✅ この記事のおさらい
- 韓国の状況:2026年1〜9月の民間医療機関の被害は28件で、前年1年間の2.5倍以上でした。累計の8割超が中小の病院・医院です。
- 国内の事例:保守用のVPN装置や委託先の回線から侵入され、診療の制限や約13万人分の情報漏洩につながった病院がありました。
- 狙われる理由:診療を止められないこと、院外との接点が多いこと、予算と人員が限られることの3つがありました。
- 対策の考え方:入口を守るだけでなく、早く気づいて止め、すぐに戻す仕組みが被害の大きさを左右します。
まずは、自院や担当病院の保守用の入口とバックアップの状況を点検するところから始めましょう。
WhiteDefenderの製品概要やセルフチェックシートは、下の資料請求からお届けします。病院への提案方法や販売パートナー制度のご相談は、お問い合わせからどうぞ。
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